羊の声でおやすみ











無茶な納期、二転三転する方針、眼精疲労。その他さまざまなストレスで不眠症気味の会社員、朔。
彼が心の拠り所にしている喫茶店の一人娘、芽衣。
朔は考える。
仕事がどれだけ辛くてもこの店があれば自分の中で折り合いをつけられると。
いい方にも悪い方にも踏み込みすぎず、現状維持ができる。
この子の前ではなんとか大人のフリができる。仕事がクソでも、うまく眠れなくても…
そんな自己暗示を続けても、悲しみはそこここに積もる。
ちょっとした不運続きで限界が近づき、いい加減「大人」を取り繕えなくなってきた朔。
そんな彼の家を芽衣が訪れる。
誘う芽衣、残る理性で踏みとどまる朔。
彼を閉じ込める柵から解き放つための言葉を、彼女は口にする。
「私、子供じゃないから だから」
「朔さんも、大人でいようとしなくていいですから…」
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